⾁合研出蒔絵

肉研出蒔絵(ししあいとぎだしまきえ)

高蒔絵を行なったあと、さらに全体に漆を塗って研ぎ出す技法です。工程数が多く、技術的に最も難しいとされる技法です。高蒔絵の部分はなだらかに低くなって地面につながっていて、高低の差があるレリーフを研ぐ技術が必要です。複雑な肉合研出蒔絵の場合は、レリーフの⼀つ⼀つを完成させながら作業を進めていきます。
高蒔絵が地面に溶け込み、深い奥行きを出すことができる立体表現です。
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蒔絵の技術がほぼ完成した室町時代の優品「男山蒔絵硯箱」には、肉合研出蒔絵の技法が用いられています。江戸時代になると、徳川家の「初音蒔絵調度」に肉合研出蒔絵の技法が駆使された以後、最高の技法として盛んに用いられています。