研出蒔絵

研出蒔絵(とぎだしまきえ)

漆で文様を描き、蒔絵粉を蒔いたあと、全体を漆で塗り込んでから均⼀に研ぎ出す技法です。
文様部分と地の部分とが全て同じ高さになります。
全体が平滑に仕上がるので、模様が形に溶け込むような透明感を持たせることができます。
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平安時代までは研出蒔絵が唯⼀の技法でした。当時の技術では荒い粒⼦の蒔絵粉しか作れなかったので、剥がれ落ちないよう研出蒔絵が考案されたと考えられています。
「宝相華迦陵頻伽蒔絵𡑮冊子箱」(919 年)は、平安時代の代表的な優品です。金粉と銀粉が蒔き分けられて、琵琶や竪笛を奏でる迦陵嚬伽(極楽に住むという鳥)が活き活きと描かれて研ぎ出され、すでにこの頃に高い水準で研出蒔絵技法が完成していることがわかります。